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皆さんこんにちは、ダイナム高崎箕郷店の永井です。

【従業員永井の百物語】のコーナーです。

夏にヒヤッとするお話をご紹介してまいりますので、ぜひお楽しみ頂ければと思います

 

今回紹介する怖い話は

【人の塊】‼

この怖い話を紹介していきます。

 

 

 

 

<内容>

これは高校3年の夏休みに起きた出来事です。

俺と友人5人は、高校最後の夏休みなので、どこかへ旅行をしようと計画を立てた。

ただ、夏休みに入っていたこともあり、観光地はキャンセル待ちの状態で、宿泊地を探すのも一苦労だった。

そしてやっと近畿地方の高原のような、観光地のペンションに空きがあり、多少騒いでも怒られないなとそこに予約をした。

旅行当日、早朝に出発し昼前に現地に到着したのだが、そこで問題が発生した。

旅行代理店とペンションの管理組合との間に伝達ミスがあり、泊まれないということになった。

俺たちはどうにかならないかと食い下がった。するとペンションの人が誰かに連絡を取り始めた。内容はわからないが何かを必死にメモしているようだった。

それから15分後、話がまとまったようで

「近場に貸し別荘があり、そこなら貸せます。料金もこちらの不手際なので3割引きします。」

と、提案された。

俺たちはそれならと納得したが、そこから少し雲行きが怪しくなった。

どうやらその貸別荘は長年使われていなかったらしく準備に少し時間がかかるそうだ。

その間、交通費と水族館の割引券を渡すのでまた夕方に来てほしいと言われた。

というわけで水族館へ行き、時間を潰して夕方頃に戻ってきた。

 

 

 

ペンションに戻ってくると先程とは違うおじさんが待っていた。

おじさんは準備ができたので案内すると言い、歩いて15分ほどの森の中の別荘へ案内された。

そこは完全に森の中で周囲には何もなく、よほど大声を出しても苦情が来なそうな所だった。

おじさんはなぜか必死に別荘の説明をしだしたのでかなり不安にはなったが、今更どうしようもないので別荘に入ることにした。

別荘は外観からも感じたように洋風の古い造りになっていて、中のインテリアもかなり古臭かった。

ただし、使われていなかった割にかなり綺麗で、まるでほとんど利用されていなかったみたいだった。

一通りみて、荷物を下ろし夕飯のバーベキューの準備をしていると、おじさんが去り際に変なこと言った。

「ここは夜中に熊が出るかもしれないから、深夜の外出は控えてくれ。」

かなり念入りに約束させられたが、なんでペンションの近くなのに熊が出るんだと疑問に思った。

しかし、考えてみれば学生が深夜に出歩いて問題を起こさないように脅かしたのだろうと納得した。

1日目はそんな感じで何事もなく終わった。

次の日、友人が変なこと言い出した。

どうやら夜中にトイレに行こうとした時、外から太鼓のような音がしたそうだ。

俺たちは聞き間違いだろうと言ってそのまま流し、本人も納得していたが、その日の夜事件は起きた。

その日、夕飯を食べ終えて暇になったので近くに肝試しに行った。

肝試しでは何も起きなかったが、帰ってくると入口に20代後半ぐらいの男がドアノブを握って立っていた。

時間は22時頃、管理人が来るはずもないと思い、空き巣かと思い近づくが男は無反応だ。

足音も出ているのに全く微動だにしないので気味が悪くなったが、友人と2人で目の前まで行ったが無反応。

苛立った友人が男の腕をつかみ引っ張ると、

俺と友人は驚き、後ろへ飛びのいた。

というのも友人が引っ張った時、その腕の手首から10センチほどの場所がゴムのように関節ではないところまで曲がったのだ。

驚いた俺たちに他の友人が近づくと、男がこちらを振り向いた。

 

 

男は見た目は普通だが、目の焦点があってなく口をポカンと開け、涎を垂らしていた。

 

 

その時になって気づいたのだが、服装がボロボロで普通ではなかった。

呆然としてると男はこちらが見えてないのかそのままフラフラと森の中へ消えてった。

俺たちはあまりの出来事に動揺し、暫く動けなかった。

しかしそのままでいるわけにはいかず、ふと我に帰り大急ぎで別荘に入りすべての鍵を閉めた。

それが終わるとリビングに戻り先程見たものについて話していた。

パニック気味になっていると、今度は外から、

………ドン………ドン……ドン…ドン

太鼓のような音がしてきた。しかも音はどんどん近づいてくるではないか。

俺たちは押し黙り音のほうに聞き耳を立ててた。

音が庭あたりに近づいたとき、俺は我慢できなくなりカーテンを開け様子をうかがった。

すると、

暗くて見づらいが何か丸いものがこちらに近づいているのが分かった。そして音はそこから出ていることに気づいた。

そして丸いものが玄関の近くまで来てライトが灯ると、

俺は急いでカーテンを閉めた。

丸いものの正体、

それは、、、

無数の人の塊とも言えるものだった。老若男女様々な人間が先程の男のような顔で、関節など関係なく体を絡み合って何十人もの人で構成された塊になっていた。

 

全員それを見てしまい恐怖で何も言えずに隅で震えていると、太鼓のような音が消え、居なくなったのかと思ったら、

 

ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン

 

玄関から扉を叩く音が聞こえてきた。俺たちは恐怖のあまりに耳を塞ぎ耐えていたが、次は建物のあちこちから、

 

ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン

 

と窓や壁関係なしに大勢の人が滅茶苦茶に叩く音が聞こえてきた。

これに耐え切れなくなった俺たちは管理事務所に電話した。

電話にはおじさんが出て、俺は必死におじさんに説明すると、

「まさか……まだ出るなんて…」

「とりあえず説明はあとだ、リビングに神棚がある、そこにお札とテープがあるからそれを扉に貼りなさい。」

俺たちは意味は分からなかったがとにかくお札を貼っていった。

貼る時なるべく見ないようにしていたが一瞬だけ見てしまった。

青白い腕が数本、窓をガンガン叩き、その奥に顔が見えた。

やはり生気のないような顔で、一体外でどうなっているのかは考えたくもなかった。

 

お札を貼り終え、外が明るくなってくると音は次第に消えていった。

しかしまだ来るかもと警戒してると、外から車の近づく音が聞こえた。

車が庭に止まり数人の足音が聞こえ、ドアのチャイムと呼びかけが聞こえ、俺たちは助かったと安堵した。

そして外に出ると、ここを手配した人と案内したおじさん、その他に3人の人が来ていた。

おじさんたちに言われ荷物をまとめた俺たちは別荘を出て、神社へ案内された。

俺たちは助かったという気持ちもあったが、それ以上になんてところに泊めたんだと怒りが湧いてきた。

すると神主らしき人が来て、こんな話をしてきた。

 

 

 

別荘のあったところは昭和40年代前半ごろまではただの森だった。

しかし徐々に観光地開発として人の手が入っていった。

順調に開発は進んでいたが、あの別荘を建てた昭和50年代前半頃から変なことが起こり始めた。

原因がわからないがその頃から太鼓の音や人の塊が出てきて、最初の別荘の持ち主もそこで失踪したそうだ。

それからも被害者はいないものの目撃者が多く、10年前に神主がお祓いをしてからは何も目撃されていなかったそうだ。

しかし、なぜかそれがまた出てきたのが昨日の出来事だったようだ。

その後、俺たちはさんざん文句を言うと、管理人から費用を払うから黙っていてほしいと言われ、俺たちは渋々話を飲み込むことにした。

今はもうその別荘は取り壊されているそうだ。  

 

 

 

ここまで読んでいただきありがとうございます。

”従業員永井の百物語”は7月~9月の夏限定更新となります。

次回、第五夜でお会いしましょう