パチンコ玉を科学する
パチンコをする時に、いつも何気なく触れている銀色の玉。パチンコにとって、まさになくてはならないモノですが、このパチンコ玉がどのように作られているのかを知りたくないですか?
今回の「パチンコを科学する」は、パチンコ玉の製造過程をご紹介。実際に製造している会社の方にもご登場いただき、パチンコ玉に関する素朴なギモンにも答えていただきました。
パチンコ玉に関する規定を知ろう
パチンコ玉は国家公安委員会の定めた規則により、大きさや重さなどの規格が定められています。この規則に基いてパチンコ玉は製造されているため、全国どの地域の、どのホールでも同じ規格のパチンコ玉が使われています。材質は鋼製(鉄)で、色はクロムでメッキ加工した銀色とチタンでメッキ加工した金色球の2種類のみとなっています。製造会社は、こうした規格の範囲内で、それぞれ耐久性や精度を高める独自のノウハウを積み重ねて、高品質なパチンコ玉を生産・販売しています。
パチンコ玉の規定
パチンコ玉は、国家公安委員会の規則によって規格が定められています。
●構造に関する規格
- イ) 遊技球には、直径十一 mm の玉を用いること
- ロ) 遊技球には、五・四 g 以上五・七 g 以下の質量の玉を用いること。
●材質に関する規格
- イ) 鋼製であること
- ロ) 均一の材質のものを用いること。
●遊技球の種類
現在上記の規則の範囲内で下記の種類の遊技球が使用されています。
遊技球の種類 |
外観 |
備考 |
刻印球 |
銀色 |
球の赤道上に名前やロゴなどが刻印されている |
無地球 |
銀色 |
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色付球(無地) |
金色 |
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パチンコ玉の歴史
戦後の混乱期、パチンコに使われていた玉は軍事用のベアリング球を転用したものでした。
やがてパチンコがブームになると、パチンコ専用の玉が製造されるようになり、各地にメーカーが乱立しはじめます。規定外の「ヤミ玉」も出まわり、それらを防ぐために玉に刻印が施されるようになります。また、焼入れなどの加工も一般的になっていきます。
パチンコ市場が拡大していき、玉にも精度が求められるようになると共に業界の淘汰も進み、品質のよい玉を製造できる業者だけが残っていきます。
昭和40年頃にはクロムメッキをした玉が誕生し、昭和52年頃には精度を高めるためのラッピング加工も生まれます。
昭和60年には国家公安委員会による品質規格が改定され、現在はこの規格に則った専用の遊技球が生産されています。
パチンコ玉の製造過程
工場担当者さん、「パチンコ玉について」の疑問を解決して!
実際にパチンコ玉を製造している会社に「パチンコ玉」についてお話を伺いました。
- パチンコ玉の寿命って何年?
- パチンコ玉そのものは耐久性を考慮して作っていますが、「寿命」となると、ホールの環境によって変わってきます。洗浄設備や経路などによって玉へのダメージが違ってくるので、その時々の状態を見て交換します。もちろんお客様が多くて、玉の動きが活発なホールだと、その分だけ玉が傷むので、交換も早まります。
当社では、傷んだ中古の玉を再メッキ加工するシステムもございますので、10年以上使い続けられる場合もありますね。
- 理想的なパチンコ玉って?
- 技術面では、美しくて耐久性があり、より真球に近いバランスの玉が理想ということになりますが、どんなパチンコ玉が良いかという理想を追求すると、ホールやお客様それぞれの立場によって違ってくるのかもしれません。個人的には、誰もがパチンコ玉をあえて意識することがない、というのが理想です。ホールは玉のことを気にすることなく営業ができて、お客様も遊技中にパチンコ玉について、特に違和感を感じない状態。そういう意味でも、パチンコ玉はホールの血液だと思います。
- ホール1店舗で、どのくらいの玉を使っているの?
- ホールの設置台数によって変わってきます。20年ほど前は1台につき1万5000玉ぐらいで計算していましたが、最近増えてきたパーソナルシステムでは、玉箱に玉を出さず機械の中で循環させるので、1台あたり平均2~3000玉程度です。
- 検品はどのように行なってるの?
- 当社では、各工程でそれぞれの職人がつきっきりで作業し、その段階で常に不良品を取り除いています。最終的な検品作業工程では、すべての玉をひとつひとつ人間の眼で選別しています。大きさやカタチだけでなく、色つやなどでもチェックして、規格に満たないものはすべて排除します。パチンコ玉というのは、10万個の中に1個でも不良玉が混ざると、そのロット全体が粗悪品のように思われてしまうので、検品は特に力を入れている工程です。
- 個人で購入することはできるの?
- 当社では基本的にはお売りしていません。販売ロットが10万個単位なので、今まで個人の方で欲しいと言われたこともないです。ただ、パチンコに使用する目的ではないご注文もたまにあります。「ヨットやタンカーなど、船舶の底部に仕込むオモリ用に」というお話や、ユニークなご要望では「熊よけの鈴の中に入れる鳴り玉として使いたい」というお話もありました。
- 新しい製品を開発してますか?
- 既存の製品の改良は常に続けていますが、規定の範囲内でも、常に面白い製品を作れないか考えています。その中でも商品化した「ホタルボール」という製品は、蛍光塗料を使うことによって、ブラックライトで刻印部が光るというものです。他にも、履歴管理を高めるために、玉のひとつひとつにQRコードを刻印するということもテストしたことがあります。